<相当因果関係>で何が変わる?
病気やケガの治療をして、一旦は治癒し、回復したかのように見えても、
後日、再発することは多々あるケースです。
そのような時に、<相当因果関係>というキーワードを理解しておくと、
障害年金の受給の可否や受給額などに影響を及ぼすことがあります。
知識不足により正しく請求できず、本望ではない結果を招かないように
事前に熟知しておきましょう。
相当因果関係とは、
現在自分の生活や就労を制限させている障害の原因となったケガなり病気なりが、
かつて過去にあった病気やケガと、何かしらの関係性があると言えるのならば、
同一の傷病とみなして<初診日>をさかのぼって、変更することができる
法律上の権利のようなものです。
例えば、「慢性腎不全により<人工透析>」を開始した場合、
慢性腎不全の原因が糖尿病であるなら、
糖尿病と慢性腎不全には<相当因果関係>があると解釈できます。
◆<人工透析>とは、2級の障害等級に該当します。
一方、「高血圧」で治療を受けていた方が、「脳梗塞」を発症した場合、
医学的な見地からの立証が難しく、障害年金の判断においては、
<相当因果関係>がないと解釈されるのが一般的です。
◆脳梗塞で初めて病院を受診した日(救急車で運ばれた日を含む)が、初診日となります。
<相当因果関係>は、何で証明するの?
❶初診の医師の「受診状況等診断書」の【傷病の原因または誘引】
❷現在の医師の「診断書」の【傷病の原因または誘引】【既存障害】【既往歴】
❸唯一本人が作成できる「病歴・就労状況等申立書」の【発病した時の状況と発病から初診までの間の状況】
この3点で、証明していきます。
以下にイメージを膨らませるための一例を紹介しますが、
もし心配な場合は、自己判断せず、医師に医学的な見解を聞いてみましょう。
<因果関係ありの具体例>
事故での外傷・脳血管疾患 ↔️ 高次脳機能障害
交通事故など ↔️ 脳脊髄液減少症
肺の手術 ↔️ 手術後の呼吸不全
結核の化学療法 ↔️ 聴覚障害(副作用)
ステロイド ↔️ 大腿骨頭無腐性壊死(副作用)
ガン(悪性新生物) ↔️ 原発と組織上一致または転移したと考えられるもの
糖尿病 ↔️ 糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症・糖尿病性壊疽
肝炎 ↔️ 肝硬変
輸血を伴う手術 ↔️ 肝炎
慢性腎炎・多発性嚢胞腎・糸球体腎炎(ネフローゼ含む) ↔️ 慢性腎不全
<因果関係なしの具体例>
高血圧 ≠ 脳梗塞・脳出血
糖尿病 ≠ 脳梗塞・脳出血
近視 ≠ 黄斑部変性・網膜剥離・視神経萎縮
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